甘い波に溺れる
「……ん……」泥のように落ちていた微睡みからゆっくりと浮上する。目を開いて隣を見るとそこに誰もいない。でも、少しだけ空いたドアの隙間から漂ってきた良い匂いに彼がどこにいるのかすぐに分かったから特に焦らずに僕は眠い目を擦った。お互い仕事が忙し…
秀百々
季節を問わず
「ねぇ、アマミネくん。今年の真ん中バースデーの予定って、もう決めてる?」「え」百々人先輩に聞かれて思わず固まってしまった。今日は9月1日で、15日には俺たちの2回目の真ん中バースデーがある。去年はサプライズ的な感じで決まって凄く良かったんだ…
秀百々
空に彼を想う。
学校の帰り道。生徒会の仕事が長引いたけど、テスト期間はオフになる日が多い。学生なのだから勉学も大事なのだと主張するプロデューサーに俺は天才なのだからそんなこと気にしなくていいって何度も言っているけれど、毎回他の学生組と贔屓はしないと言い切ら…
秀百々
アンタの好みになりたい
「かっこいい人かな」ダンスレッスンの休憩時間に出来る限り自然に聞いた質問の答えがこれだった。好みのタイプは?なんて自分が誰かに聞く日が来るなんて少し前なら考えられなかったけれど、どうにも今隣に座っている百々人先輩相手だといつものペースが崩れ…
秀百々
神様お願い。
「ねぇ、アマミネくんは神様に何をお願いしたの?」集まれるだけ集まった事務所のメンバーとの初詣の帰り、百々人は隣を歩く秀に尋ねた。秀はその質問に少し考える素振りを見せ、百々人先輩は?と尋ね返す。それに百々人はゆるく答える。「ぴぃちゃんに見捨て…
秀百々
片耳を彩る
「「「メリークリスマス!」」」パーン!とクラッカーを鳴らす天道さんやかのんくんを見て、会議用のテーブルを繋げて白いテーブルクロスをかけて即席のパーティーテーブルに並んでる色んな料理を見ていたら、横から白いお皿を差し出された。「百々人さんどう…
秀百々
キミが生まれた日。
今日はいつもより多忙だった。日付が変わってからすぐに始まったLINKでの誕生日祝いメッセージへの返信、重なった小テストにいつも通りの生徒会の仕事、年末のライブに向けてのレッスンと打ち合わせ…。もちろん天才の俺に捌けないわけはないけれど、やっ…
秀百々
全部溶かして
「ん、……んッ、ぁ……ぅぁ」「は……っ……」粘度の高いものを擦るような音が部屋に小さく響いてる。ような音って言うか、実際にそうなんだけど。ぼんやりした視界を前に向けると頬を赤く染めたアマミネくんがいて、少し下を見れば彼が彼自身のペニスを擦っ…
秀百々
トロトロに甘く
「百々人先輩」「なぁに?」サリサリ、と僕の爪に丁寧にヤスリをかけるアマミネくんに呼ばれて返事をする。ここは僕の部屋で、ご飯もお風呂も済ませてて、明日は完全にオフだ。準備を終えてるお尻が疼いて、ふ、と小さく息を吐く。「チョコレートって、媚薬扱…
秀百々
キミが溢れて零れた。
アマミネくんと付き合い始めて半年が過ぎたけど、僕たちはいまだにセックスをしていない。僕は誰かとお付き合いすること自体初めてだから自信ないけれど、友達の話を聞いてると割と早くしてるイメージだったからなんとなくそういう雰囲気になったらするのかな…
秀百々
銀河鉄道を降りて。
フ、と意識が浮上する。自分がどこにいるのか分からなくて辺りを見渡すと、左には大きな窓に映る自分、右は狭い通路、座っているのはあまり座り心地の良くないシート席。そして目の前には窓枠に肘をついて外を見ている百々人先輩がいた。「百々人先輩?」「……
秀百々