占探

その底にあるものは、(前世あり現パロ)

「誕生日おめでとう、ノートン」「ありがとうございます、イライさん」そう笑い合って、この歳になってバースデーケーキの蝋燭を消すことに照れながら、ふぅ、と揺れる火を吹き消した。そして、僕は思い出した。思い出して、しまった。僕が10歳の時に悲しい…

とろり、甘く。(パロ時空)

「ノートン、これで何回目ですか?」「ごめんごめん、ちょっと油断しててね」夜行の呆れ半分怒り半分の言葉に謝罪を返しながら、しゅるり、しゅるり、と小さく布ずれの音を立てながら軽く擦りむいて赤くなった手首に包帯が巻かれていくのを見る。大したことな…

プラネタリウムと寒い夜

淹れたてのコーヒーに小さじ一杯の砂糖とミルクを入れスプーンでくるくると渦を描く。トレーに載せてさて、と歩き始めたところでテーブルの上にあるバスケットに入ったクッキーの存在に気付いた。少しの期待を込めて覗き込めば『ご自由にどうぞ』というメッセ…

この感情の名前を、

私、イライ・クラークと彼、ノートン・キャンベルが恋仲となって季節が一つ過ぎようとしている。手を繋いで、少し深いキスをして、けれどそこまで。そんな戯れのような触れ合いばかりの関係も決して嫌ではない。キスをする度に頬を赤らめて恥ずかしげにするノ…