トロトロに甘く

頭が悪いスケベ短文第2弾。

「百々人先輩」
「なぁに?」

サリサリ、と僕の爪に丁寧にヤスリをかけるアマミネくんに呼ばれて返事をする。
ここは僕の部屋で、ご飯もお風呂も済ませてて、明日は完全にオフだ。準備を終えてるお尻が疼いて、ふ、と小さく息を吐く。

「チョコレートって、媚薬扱いされてきた歴史があるじゃないですか」

唐突な話題に思わず首を傾げてしまう。確かにチョコレートにはそういう歴史はある。なんだっけ、なんとかっていう成分にそういう作用があるらしい。

「フェニルエチルアミンって成分が興奮作用とリラックス作用があるらしいからそう言われてるんですけど」
「う、うん?」

小指までヤスリをかけ終えたアマミネくんがふぅ、と息を吹く。深めに切られて敏感になった指先をくすぐる生温かい風に少しだけ肩が跳ねた。爪ヤスリをサイドボードに置いたその手で小さな箱を持って、アマミネくんはにこりと笑う。

「今日、プロデューサーに差し入れで貰ったんです。食べませんか?」
「今の流れでわーい食べるー!って言うと思う?」

じとり、とアマミネくんを見るけど本人はどこ吹く風で箱を開けて4つ入りのトリュフを1つ摘まんで僕の唇に押し当ててきた。

「良いじゃないですか。元々する予定だったんですから」
「…………」

溶けちゃいますよ。って言う言葉に渋々と口を開けて、ころりと入ってくる茶色の玉を舌に乗せて舐めると滑らかに溶けだした甘さに少しだけささくれていた気持ちも落ち着いてくる。美味しい。さすがぴぃちゃん。

「先輩、俺にも食べさせて」
「ん、」

頭の中でぴぃちゃんを褒めてたらいつの間にか近付いてきていたアマミネくんにキスされる。驚いて少し開いた唇を抉じ開けて入ってきた彼の舌が僕の舌をチョコレートごと絡めて擦り合わせてきて鼻に抜けるような声が出てしまった。いつもと同じキスのはずなのにいつもよりも甘くて溶けちゃいそうだ。

「ん、ん……♡」
「ん、これ、美味しいですね」

残りは後で食べましょう。って笑うアマミネくんの瞳に映る僕はとろとろに溶けた女の子みたいな顔をしていて、恥ずかしくて目を逸らしながら頷く。
いつもより性急に脱がされていく服に、アマミネくんもいつもより興奮してるんだと分かってキュン、とお腹が疼いた。

「また自分で準備してきたんですか」
「……だって、アマミネくんにさせたら駄目だったじゃない」

不満そうにアマミネくんは言うけど、前に最初からさせたら指だけで僕がイキすぎてアマミネくんのを挿れてすぐに気を失ってしまったという過去があるのにそんな顔をされるいわれはない。

「ん……っ♡」
「いつもより熱い」

注ぎ足すようにローションを纏ったアマミネくんの指が入ってくる。ゆるゆると前立腺を撫でられて、でもすぐにそれは出ていった。代わりに押し当てられる熱に期待する体の体温がどんどん上がっていくのを感じる。

「挿れますね」
「うん、ん、んぅ♡♡」

ゆっくりと押し広げられていくだけで目の前に星が散るほど気持ちがいい。こういうのって回数を重ねたら多少慣れるものだと思ってたんだけど、何回セックスしてもちっとも楽になる気配がない。

「ん、あっ♡」

アマミネくんのが全部入った。ゆるゆると慣らすように揺すられるのがじれったくて仕方ないけど、そこからどんどん早くなっていくのが好きでもあるから文句も言えない。気持ちいい。



でも、チョコレートのせいなのかな。いつもよりナカに響いてる気がする。少し落ち着きたくて、は、ってなんとか息を吐いた時だった。

「っひ、ぅ?……っっっ!!」

お腹の奥からせり上がってくるいつもとは熱にアマミネくんの腕を強く掴む。

「ア、マミネくん!まっ、て!ん゙ぅ♡と、とまっ、てぇ!♡♡で、ちゃう……っ!」
「良いですよ、イって」

確かに気持ちよくてすぐにイッちゃうことはあるけど今は違う。これは射精じゃなくて……尿意だ。アマミネくんにはみっともない姿をたくさん見せてるけど、これは、さすがに無理。見せたくない。

「ち、がぁ!♡……ひ♡、おしっこ、出ちゃう……!」
「え」

ゴリッっと前立腺をひと際強く抉ってからようやくアマミネくんは動きを止めてくれたけど、間に合わなかった。

「っ!イ゙ぅっ!!♡♡」

我慢出来なかったそれが勢いよく僕のペニスから噴き出してアマミネくんの胸を濡らす。
17歳にもなってお漏らししてしまった自分が恥ずかしすぎて、気持ち良いのとは別の涙が出てきた。

「ぅぇ、とまってって、いったのに……!」
「すみません……。でも、これ尿というか潮ですよ」
「しお……?」
「はい。セックスしてる時に気持ち良すぎると男でも吹くらしいんで。先輩、それだけ気持ちよくなってくれたってことでしょ?俺、嬉しいです」

そういうアマミネくんは本当に嬉しそうで、嘘をついてるとは思えない。ゆっくりと近付いてくる顔に反射的に瞼を閉じる。唇が当たってすぐにぬるりと舌に促されてそっと口を開けば、勝手知ったるという動きで気持ち良いところを全部舐められてアマミネくんの熱が入ったままのナカがまた熱くなってきた。

「ん、んっ、ん♡」

少しだけ甘さの残った舌を擦り合わせる。気持ちよくてぼんやりするのに、お腹の方は意識すればするほど埋まっている熱さと硬さに、早く僕の中に出してほしいって気持ちが沸き上がってきてお腹がキュンと疼いてしまう。

「は、ぁ……♡んあっっ♡♡」
「っ、は、先輩、動きますね」
「も、うごい゙っ♡♡あっぁっ♡んっ♡あっあっ♡あっ♡♡」

ぱちゅぱちゅとローションを纏った肌がぶつかる音と僕の喘ぐ声が部屋に響いて耳からも犯されている気分になる。頭の線がプツプツと切られてアマミネくんのことしか考えられなくなるこの瞬間が僕は好きだった。
潮を吹いて少し落ち着いていた僕のペニスはとっくに元気を取り戻してピストンに合わせて揺れている。その微かな揺れもナカに響いてずっとイってる気がする。それで逃しきれなかった気持ち良いのが溜まって、溜まって。
弾けた。

「ぁっ♡、ん゙ぅ~~~♡♡♡」
「っ、」

今度は普通に射精だったけど、少し混じった潮が精液を少し薄めたせいでお腹の上を流れていく感覚が気持ちよくてまた小さくイッてしまった。ナカに出されたアマミネくんの熱さも足してなかなか降りてこられない。

「は♡、んっ、ん……♡」
「大丈夫です、……ぁ」
「?」

アマミネくんの言葉が不自然に途切れて視界の端に赤色が映る。なんだろうと思いながら彼の方を見れば、形の整ったその鼻から血がポタリ、とシーツに落ちていくのが見えた。

「だ、大丈夫……?」
「………はい……」

ティッシュ近くにあって良かったねって言葉は口に出さないでおいた。



なんとか全部片付けて綺麗になったベッドの上で2人で寝転ぶ。

「鼻血止まった?」
「止まりました。先輩は身体大丈夫ですか?」
「ベッドから降りてみようか?」
「やめてください」

トイレ行きたくなったらちゃんと起こしてくださいよ。って念を押すアマミネくんにはぁい。と返す。そういうなんてことない時間が幸せで、微睡みだした意識をなんとか繋ごうとするけど、それに気付いたアマミネくんが笑う。

「明日も一緒にいますよ。チョコレート、コーヒーと一緒に食べましょうか」
「……うん」

今でも朝になんで目が覚めちゃったんだろうって思う日はある。凄く減ったけど、0にはならない。
でも、明日は平気だ。だって目が覚めたらアマミネくんがいるって分かってるから。
チョコレート楽しみだな。どうせ動けないから気になってた映画を見ようってDVDも借りてきたし、のんびりとオフの日を過ごそう。
そんなことを考えながら、僕は幸せに瞼を閉じた。